2005年10月15日

大西洋を横断

 ワシントンDCからパリへ向かうジェット旅客機の窓のちょうど左に北斗七星があった。あのひしゃくを上に向けてキラキラと輝く星を見ていると、大西洋を横断している実感がせまってくる。アメリカ東部時間の午前1時、出発してから5時間経っていた。気がつくと、手前の雲の中に、この飛行機と逆方向に動きながら白い光を点滅させている物体がある。ヨーロッパからアメリカへ向かう飛行機。時速1、000キロ近くで飛ぶ飛行機同士がすれちがうというのに、その物体は、のろのろと動いている。きっと、数十キロも離れているのだろう。その雲の彼方には薄いブルーの空間があり、その間から帯状のオレンジ色の光がさしている。そのオレンジ色の部分は、時により活火山から噴き出す溶岩のような火の色に変わる。時間が経って、その帯が次第に大きくなり本物の太陽が顔を出した頃、ジェット機はパリに着陸した。大西洋を横断するのに7時間かかることを、ぼくはその時知った。
(8/10/1997)
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この記事へのコメント
この記事に関して、長年JALのチーフ・パーサーを勤められた川井利夫さんからご丁寧なメールをいただきました。お礼を申しあげます。

川井さんによると、飛行機は決められた航空路に添って飛んでおり、その幅は洋上で90kmなので、すれ違う飛行機との距離は90kmの半分の45kmほど、すれ違う飛行機との高度差はおよそ600mということです。
Posted by 原島一男 at 2005年10月27日 06:30
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